Vol. 4 心に残る歌

 正月のTVで「新春12時間歌謡祭」(BSテレ東)という番組があった。懐かしい流行歌がたくさん出てきたが、そういう歌番組を見る度に思うのは、流行歌というのはその時代を反映していて個人個人の心に残るものであるということである。

 私自身について言えば例えば、北九州で聴いた「八代亜紀」の『愛の終着駅』がそれである。それは予備校に通っていた頃で、昼休みに近くの定食屋さんに行くとTVから流れて来た。ちょうど昼の連続メロドラマをやっていて、その日の回が終わる頃に物哀しい調べが流れてくる。ちょっと場末の食堂で聴くその曲は、浪人生活という不安の多い時期であったからこそ心に染み込む歌となったように思う。

 その翌年に聴いたのが「小林幸子」の『おもいで酒』である。この歌はご本人が長い下積み時代を経てつかんだヒット曲だったが、そういう艱難辛苦(かんなんしんく)の後に得られるものがあるというエピソードは、しがない浪人生活を送る者にも元気を与えてくれたように思う。そういうことで『おもいで酒』が印象深く残ったのだろう。(続きあり)

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