Vol.81 親子関係(パート1)

 親子関係というのは日本と西欧ではかなり違うようだ。聞くところによると英国では食事のとき両親と子供は同じテーブルに着くことはないらしい。我々日本人から見ると考えられないようなことだが、それくらい英国ではしつけが厳しいということだ。

 最近はいろんな事件が起こって日本でも親との問題が論議されるようになったが、そういう議論はまだまだ親側に抵抗があるように思われる。それは治療場面においても同じだ。治療者側からすれば親にも問題があると言いたいのだが、そこに問題があると言われることは、まさにそれまで信じて来た家族神話が崩壊することになる。昔から一家団欒の安らぐ場所として家族が存在してきたのだから。

 確かに親に問題があるというふうに持っていくと犯人探しが行われるようで余り気持ちのよいものではない。そういうこともあってか精神分析では面接者と本人との2者関係で治療は行われる。また心身症の治療においても家族と切り離されて治療が行われる。いずれにしても治療者との関係が親子関係の代わりになると言ってよいだろう。

 ところで親子関係と言えば当然のこととして父子関係と母子関係の2つがある。どちらがより重要かと言うと疾患によって比重が違ってくる。精神分析に従って述べてみれば、例えば神経症では3才頃(エディプス期)の父子関係が問題であり、拒食症などの摂食障害では生まれてから3才頃迄の母子関係に問題がある。

 従って父子関係が問題なら反抗期の親と子供の闘いが欠如していたのだから、そんな関係が治療場面で再現されることになるだろう。また母子関係なら母親が赤ん坊の訴えをうまく汲んでやれなかったというのが問題点だ。そこで治療者側の役割は彼・彼女たちの言動の意味を理解しつつ抱えることにある。この母子関係については分析の中でもクラインやビオンの理論が卓越している。

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