Vol.49 自分らしく

 現代社会は複雑になって自己を見失いやすい時代になっている。こんな時代に必要とされるのは何か生きる指針となるものである。その中でもフランクルの考え方は今なおその意義は大きく、我々自身が“自分らしさ”を取り戻す道を示してくれる。

 フランクルと言えば『夜と霧』の著者として有名な精神科医である。彼自身が強制収容所という過酷な状況を乗り越えた体験から、困難な状況を生き抜くためには『自己の使命』に気づくことが重要だということを体得した。そしてフランクルは自身の体験をもとに精神科治療を確立している。

 すなわちフランクルの示唆するところは我々が『自己の使命』を見つけること目指し、『自分の人生から何を求められているか』に気づくことである。さらに各個人は自分の中に未だ埋もれている“良いところ”や“能力”に気づいていくことを求められる。それは自己を取り戻すことであり自己のアイデンティティを確立することだ。その結果“自分らしく”生きる道が開けてくる。

 それが可能となるのは各個人と治療者側に共同作業ということになるが、さらに“人格”の部分が治療場面に現れることが重要である。その“人格”の部分というのはフランクルの考え方で特徴的なものだ。つまり誰の中にも精神的な核の部分にその個人の“人格”が存在していて、その部分が尊重されることによって自己の存在感を取り戻して行く。

 そして各個人はそれまで気づかなかった本人の内面を意識できるようになり『自分がどうしたいか』も考えられるようになる。そのようにして“自分らしく”生きることになった個人は様々なストレスに耐えながら、自己のイヤな感情を乗り越えていくことが可能となる。その結果自分が生きているという実感が湧いてくる。

 我々にとって大事なことはこの複雑化した現代に対して『どういう考え』で対応し『どういう態度』で対峙して生きているかということだ。そんなことをフランクルの人間学が教えてくれている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です