Vol.45 話す仕事

 好きな仕事をしたり楽しく仕事をすることが脳の活性化につながると言う。それに多くの人たちとのおしゃべりが加わればその活性化の効果はさらに増大すると言う。おしゃべりをして好きな仕事になるという仕事とはどんなものだろうか?一体どこでそんな仕事ぶりを私は見たことがあるだろうか?そういうことを考えてみて特に私の頭に浮かんでくるのは喫茶店“ココはココ”の様子である。

 一般的に喫茶店と言えば街のオアシスと言った場所であり、ちょっと立ち寄ってコーヒーを飲みながらゆったりすれば何かホッとできるところだ。また店のマスターやママさんとの会話が加わればさらに心がなごむものだ。

 一方“ココはココ”についてさらに言えることは人々が悩んだり仕事に疲れたりしたときに立ち寄る場所でもあったということだ。そしてマスターとの間で何気ない会話、生き方を語るような会話、本音をぶつけ合うような会話などによって客たちは心の隙間を埋めていたのだろうと思う。

 考えてみればそういう場所というのは我々の身の回りにはなかなかない。敢えて言えば心身症や精神科系の現場がそんな役割を果たしている場所になるだろうか。もともとそこは病気を抱えた人たちが訪れる場所ではあるが、ただ症状を取り除くだけでは片手落ちであり、やはり病気のウラに潜んでいる何かを一緒に考えていく場所であってこそ大きな意味がある。

 そういうふうに“抱える”役割を喫茶店が果たしていたことは驚くべきことだが、不思議なことに私自身が医療の現場でマスターと同じように相手と一緒に考えようとしている。そういうことからすると喫茶店“ココはココ”の様子が当“のぞみメンタルクリニック”の原型になったのではないかと思ったりする。

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